会長メッセージ

我々には時間がない。

世界は常に移ろい、留まることを知りません。
無常の理は、悲観ではなく、ありのままの世界と自分を照らし出します。
我々に悠久の時間は与えられていません。
社会も人生も、戻ることのない変化の連なりの中にあります。
その理は、ときに我々を苦しめることもあるでしょう。

だからこそ仮想哲学会は、今この瞬間に問い続け、考え続けます。
この世界は何か。存在とは何か。仮想とは何か。

時計の針は元には戻りません。
ゆえに思索は真剣でなければならない。
たとえ最終の答えに辿り着けなくとも、問い続けた軌跡は消えません。
その歩みが、新たな縁を結び、次の思索を生み出します。

「春の夜の夢のごとし。」
かつて、日本人は人生や栄華をこのように表現しました。
それは無常を受け入れるための、美しい比喩だったのかもしれません。
しかし、我々はあえて立ち止まります。
もしそれが、単なる比喩ではないとしたら?
この世界を“現実”と呼ぶ根拠は、どこにあるのでしょうか?
我々が確かだと思っている存在は、どのような条件のもとでリアリティを持つのか。
夢と現実を分ける境界は明確なのか、それとも我々が便宜的に引いた線にすぎないのか。

我々は、世界を安易に断定することなく、その根拠を問い続けます。
仮想という視点から、存在はいかなる条件のもとで成立し、いかにして“現実”として経験されるのかを探究します。
それは、この世界を否定するためではなく、より確かな理解のもとに受け入れるための歩みなのです。

仮想哲学会 会長・暁 直斗